建築基準法改正による住宅供給の方向性とは

バンクーバーでは現在Missing Middleと呼ばれる「一般市民の住宅」の供給に力を入れています。2023年の9月に大幅な建築基準法(用途や建ぺい率などを含む)改正の議論が行われ、10月中旬に採決をととる事になります。これにより、今まで住宅だけでも9つほどあった異なる建築基準法が一つに纏められ、容積率も100%まで建築可能になる予定です。これにより全住宅区域で宅地の更なる分譲が可能になり、複数の住宅建設により住宅の小型化が可能になります。同時に一軒家を建築する場合には、容積率も今までの70%が60%に減少し、一軒家の建築を抑止する方向に出ています。

City of Vancouver: Adding missing middle housing and simplifying regulations in low density neighbourhoods

これら流れの原因は別のブログでもお話しした様に、バンクーバー全体の住宅地価が高騰し、現在の市内の一軒家価格は$2Million(2.2億円相当)を下りません。これは既存の築年数に関わりなく、地価ベースの価格になっている為、新築の場合には更に高騰した価格になり、バンクーバーの西側住宅地では4億円以上の価格になる物件も多く存在しています。よって、一般市民には手の届かない存在になってしまった住宅購入をなんとか戻そうとする試みから、このMissing Middle(具体的には上記のDuplexやQuadplexを意味する複数住宅)の見直しが掛かりました。

一般的な改築の必要条件と環境について

よって、一軒家宅地においては、冒頭にも書いた様に、建ぺい率100%が可能になり、戸数も一宅地で3から4宅まで建築可能になり、大きな宅地では8宅の賃貸住宅が事実上建設可能になります。3宅以上の建設により、供給電力の付加などから更なる変圧器の設置が求められますが、最終利益額に比べると控えめな価格になっています。更に容積率を補う為にも設計上ペンシル型の背が高い建築が認められ、ガレージを3・4宅目に当てる事が許される様になります。よって、各住宅の大きさも著しく変わり、改正後の平均住宅サイズは約1,200sf(約111平米)が主流になります(現在の一軒家は280〜330平米)。ガレージからのコンバージョンでも約1,000sfはある為、約93平米の一軒家が確保可能になります。これらにより、価格面も1,200sfで約$1.5Million(約16千万; 東バンクーバー地区)に収まり、今までの半額で住宅が購入可能になる見込みです。

改正が与える投機投資家への影響

ただ、この改正にも隠れた問題は存在すると思われ、投機投資家による更なる宅地の値上がりや現在の売り出し物件不足からの竣工住宅の価格の高騰が考えられています。更に現在の高金利や建築資材の高騰がどこまで価格を柔軟に抑えられるかが今後の注目ポイントになります。また、バンクーバー市内には富裕層が住む西地区(UBC近辺)と中低所得者層の東バンクーバーが存在します。西側地区ではこの改定がどこまで既存住民に受け入れられるのか(例えば景観の悪化からくる資産価値の低下などを理由として)が見どころです。ただ、現在のバンクーバー市議会は各地域住民の心配より市全体の将来を担った政策を理由に、行政政策を推し通りしており、今後もこの方向性は変わらないものと予測されます。よって、数十年後にはバンクーバーの資産ベースの住宅分布図も大きく変化しているかもしれません。

デベロッパーとしての弊社の視点

では、この改正が弊社の様なデベロッパーたちにはどの様に影響して来るのかについて、軽く触れましょう。商業物件のブログでも行ったプロフォーマベースの解説は今後のブログで細かくお話しする事にします。建築資材の高騰は存在するものの、各案件の大きさが限られている為、総合建築価格も現状ではそれ程高騰していません。物件の再分割化が行われる事により戸数が増え、販売価格も低下し、売りやすくなり、プロジェクト終了までの期間も幾分短縮化されると思われます。また、スペック物件として手頃価格で売り出さされる為、内装も簡素化され、デザイン面でも価格を抑える事が可能になります。ただ、全てがバニラ風味だと全くの存在感をもたらさなくなり、販売力も欠如する為、コストを抑えながらも各物件のアピールポイントを出す事が重要になります。

KM Pacific Investment, Project,

進行中のニュープロジェクト: 2995 Adanac Street

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