不動産投資から収益を上げる方法についてお話します。

不動産の投資戦略には基本3つの方法があります。
① 既存物件の継続的運用
② 既存物件の改築によるバリューアップ
③ 再開発によるバリュークリエーション

その中でも①と②を通したIncome Approach(インカム・アプローチ)Capital Gain Approach(キャピタル・ゲイン・アプローチ)についてご説明します。

1)Incomes Approach(インカム・アプローチ)とは

Incomes Approachとは、その名の通り賃貸活動からくるインカムを収入源とした安定的手法になります。入居率も経済状況により影響を受けますが管理が行き届いていて、長期投資戦略が描かれている物件では、概ね安定した収益が見込めるのがIncome Approachです。また、テナントとの賃貸借契約も期間が明確に掲載されているのが一般的で、中途解約も通常は不可能になっています。よって、テナントからの中途解約の申し入れの際にも、残期間家賃を請求するのが一般的です。

また、市場によっては共益費のパススルーが可能になり、全建物運営費はテナントが負担するトリプルネット賃貸(NNNリース)も存在します。例えば、バンクーバーがその良い例です。よって、ビル所有者にとっては賃料の100%が利益になる計算です。もう一つの請求方法がGross Leaseと言い、基本家賃に共益費を当初から上乗せして計上するものです。Gross Leaseでは通常、毎年の共益費上昇率を上乗せする方式ですが、上昇利率が賃貸借契約所によって制限されている事も多く、著しい共益費の上昇に対応できない場合もあります。同時に請求側としては、一定の上昇を契約書の中に定めることで不確定な経費向上に対しても対応可能になります。

Income Approachで収益率を上昇させるには次の方法が存在します。
① 新規テナント募集
② 賃料の定期的ステップアップ
③ 賃料改定
④ Grossからトリプルネットリースへの変更
⑤ 管理費等の改定
⑥ 経費項目の見直しや修繕工事、改築工事の延期

現実的に遂行可能な選択肢は①、②、⑤と⑥でしょう。特に②が現状維持の上で唯一の賃料増加項目になり、時間をかけて物件の価値を上昇させる要因になります。①の新規テナントを迎え入れる場合には、所有者のテナント工事を多めに負担する事で、基本賃料の増額が可能になり、更なる物件価値上昇につながります。これにより、売却時にはより高額での売却が可能になるはずです。

2)Capital Gain Approach(キャピタル・ゲイン・アプローチ)とは

Capital Gain手法を使っての収益向上には主に①改築または②再開発が挙げられます。①の中でも、修繕をベースとした改築(建築申請不必要)か、建築申請を提出しての改築になります。これらの目的はリポジショニングといい、現在の物件の市場位置を変更することで物件の価値を向上させるという目的を持っています。

修繕をベースとしたリポジショニングの一番大きなメリットは、手間がかからずすぐに始められることです。しかし、申請をしない場合の作業範囲が限られてしまうことで、大掛かりな作業ができず、大幅な賃貸価格変動を起こせません。作業範囲としては、塗装、電気設備の入れ替え、構造体に触れない内装撤去、設備(トイレやボイラー)の入れ替えなどに限られてしまいます。しかし、設備の向上で賃料増額が可能になるので、コスパ的には十分検討の余地がある方法です。

建築申請を提出して行う改築では以下の2つがあります。
① 窓の拡張、屋根の貼り直し、外壁や玄関、化粧室のやり直しなどを施す改築
② 躯体まで削ぎ落として行う改築

① 窓の拡張、屋根の貼り直し、外壁や玄関、化粧室のやり直しなどを施す改築

弊社が専門としているのは①になります。しかしこの場合でも、建築申請で時間がかかることが多く、工期としては2〜2.5年ほどかかってしまいます。具体的には、デザインを含めた建築申請に約15ヶ月かかり、その後10〜15ヶ月間の建築期間になります。もちろんこの期間も改築内容によって異なりますが、どのような改築でもゼネコンの工程プラニングと段取りがプロジェクトの運命を決めることになります。

この改築の目的は高賃料支払い可能な新業種のテナントを入居させる事です。購入時のテナントが製造業であっても、改築後にはハイテクや建築事務所などのクリエーティブオフィスが入居する事が多く、物件のイメージや市場内のポジションを大きく変化させることが可能になります。通常、ハイテクやクリエイティブオフィスはインダストリアルの用途に入っていますが、新規申請が必要になるので、用途外の新規テナントを確保するかどうかは投資判断になります。

② 躯体まで削ぎ落として行う改築

改築②を行う場合は、再開発を検討した方が効率良く経済的に遂行出来ることが多くあります。しかし、この手法を選ぶ理由は、現在のバンクーバー市場のように供給物件が少なく、立地的、行政的に制限がある場合です。例えば、土地面積が小さいにも関わらず、建築基準法上で駐車場の設置義務がある場合には、地下に駐車場を設置することが経済的でない場合が多く、この手法を選びます。ただこれを選ぶ場合には、賃貸市場での低空室率、新中古物件でも新規物件同様の賃料が得られる市場環境が条件になります。

可能性はデベロッパーの想像力、意欲と決意の分だけ、リポジショニングは深く多種多彩です。

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