今回は不動産市場の流れを決める人口トレンドとインフラの方向性についてお話ししたいと思います。

1)人口トレンド

コロナ禍の中でもバンクーバーの世界的魅力と成長は継続しています。世界的には色々な困難な状況が継続する中、この様な前向きで兆しの良いニュースには首をかしげる所なのかもしれません。もちろん、現状の最中に外出している人の数は減少しており、コロナ禍に対しての不安も気休め出来ていないと言うのが巷の答えだと思います。しかし、複数の統計や市場情報を参考にしても、長期的な魅力は健在です。

Urbanizedというバンクーバーの不動産情報サイトによると、バンクーバー圏の人口は2050年までに380万人に達する見込みです。これは現在(2021年)の280万人から約36%の人口上昇になります。統計的に見ても、2012年の人口は238万人でしたが、2016年には259万人にまでの約21万人増加しました。1970年の人口が125万人だったことを考えると、この半世紀で倍以上に成長しており、いかに近年でバンクーバーが世界的に有名になり、住みたい街になってきているかが分かります。因みに、バンクーバー市の新しい統計計算によると、この増加は年間約35,000人に匹敵するそうです。また、380万人という数字は現在のシアトルやモントリオール市の約400万人の大きさに匹敵します。

年35,000人の増加と2050年までの人口増加は140万から190万人分の新規雇用を生むと予測されています。Urbanizedの記事によれば、過半数の新規雇用先は新規サービス業(ハイテク、金融や店舗)からのものになり、その他の25% は行政や学校を含む公的機関からの需要と予測されるなか、残りの約23%は製造業関係から来ると報告しています。以前のブログでもお話しした様に、バンクーバーの平均企業サイズは5人以内(5人以下の企業が75%を占めており、個人事業者は30パーセントを超えています)なので、新規事業の立ち上げも含め、この雇用増加数はバンクーバーの雇用市場のみならず、不動産需要にも大きな変化をもたらす事になります。

同時にカナダへの年間移民数が約30万人とされているなか、約12%がバンクーバー圏に移り住んでいると移民リサーチ会社の統計が示しています。その上、2020年には約65万人の留学生がカナダに勉学目的で入国しています。この数値だけでも先進国内3位にランクインする数値ですが、その約21%がBC州の教育機関へ入学しているとの事です。教育レベルにもよりますが、通常の大学や短大(専門学校)卒業者には2から3年の就業ビザが発行される為、コンサバ的に見ても毎年数万人の新卒者がバンクーバーの雇用人口に加算される事になります。

2)バンクーバーの不動産・住宅事情

このような人口増加は住宅需要も高騰させる事になります。Urbanizedでは今後の建築物件数の50%はマンションで賄われ、28%が長屋的のデュープレックス(2軒)やクオッドプレックス(4軒繋がり)のタウンハウス系建造物になると予測しています。今後の一軒家建築は全体の6%程に止まり、今後のバンクーバーのスカイラインは更に大きく変わる事になります。高層化につれて、各建物の用途や使い方も変化してくることが予想されます。今後は各ビルの利用方法が更に柔軟化してインダストリアルやオフィス部を含めた複合ビルが出てくる様になるでしょう。

これは私がバンクーバーに来た当初から感じていた事なのですが、大まかな地区性は存在するものの、特例やバンクーバー全体の地域が小さい事から、多くの場所で地域性(建築上のゾーニング)が入り混ざっており、飛び石状態になって存在しています。この様な環境は深夜などによる「ゴーストタウン化」を防ぐ事になり24時間性の街の建造を助長する事になると思います。また、バンクーバー特有の配置(ダウンタウンが半島であり、周りが海に囲まれていたり、大きな緑地公園が隣接している)は、ワークライフが混合した環境にも生活リズムや景観的変化を与えてくれる事になり、このユニークなバンクーバーを継続して魅力ある都市にしているのかもしれません。ただ、一つの懸念事項としては、地域性がない事で、総合的な都市開発計画は複雑になり、経済的な規制(例えば、事業用と住宅用の公道用途上の衝突や大型事業用車両の乗り入れなど)や行政の財政管理(例えば、固定資産税の査定方法)が困難になるなどから、高額生活都市になる可能性があります。コストの膨らみは既にバンクーバーでも起こっていますが、バンクーバーの問題は収入の上昇が経済全体的に起こっていない事です。

バンクーバー市:Housing Vancouver strategy

3)インフラ投資

長期的な観点からは、この右肩上がりの増加がいつまで継続するのか、そしてどこまで許容出来るのかという、都市開発計画上の限界が試される事になると思います。今後の拡張の多くはバンクーバー圏南部(Fraser川の南側)で起こると想定されていますが、西部が太平洋と向き合い、車で南へ一時間のところにアメリカとの国境を構えている事や、全商業用不動産(オフィス、物流・インダストリアル、店舗)と住宅からの更なる土地の需要を考えると、バンクーバーの発展には限度がそう遠くない将来に来てしまうかも知れません。

この様な人口増加により、更なるインフラ整備も必須になります。道路の拡張や新規ルートの増設が計画されており、現時点では3路線の地下鉄乗り入れ式高架電車が運行中ですが、更なる路線の拡張工事が着工しています。一つは、東西路線がブリティッシュコロンビア大学まで拡張する予定になっています。また、深いバラード湾の影響で北、西バンクーバー地区(North VancouverとWest Vancouver)からダウンタウンへのアクセスは車による橋と水上バスだけでしたが、現在新たな環状線電車を開通する方向で調査が進んでいます。これ以外でも複数の新規路線拡張計画が上がっており、徒歩と環境にやさしい公共交通網ベースの街づくりが進む予定です。

©TransLink

4)今後の見通し

また以前にもブログで取り上げた、北米西海岸高速交通網の竣工により、一層人々のモビリティーは向上し、同都市内のみでの雇用概念は薄れる事になると思います。ただ、長距離における雇用のモビリティーはこの様な手法で対応が可能になりますが、近距離における雇用と住宅状況に対しては、今後も現地行政の対応が必須になります。

そして、これら将来的とし計画にはまだ時間がかかり、それまでの数年から十数年の間の発展と行政の計画及び対応は、今後のバンクーバーの発展にとても大きな影響を及ぼすと思います。

バンクーバー市:Vancouver Plan

よって、今後も密度化がましていく中、バンクーバーへの世界的魅力は継続すると思われますが、行政や州との協力が一層必須になり、今後の発展に大きく影響していくと思われます。同時に、新規雇用を産み続ける上でも、引き続き経済的に友好的な環境を継続するのは大事な事だと思います

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