投資手法の中でも、ごくシンプルな直接投資について、今週はお話ししたいと思います。このシナリオでは、先週までお話ししてきたストラクチャーを一切使わず、一社(一人)のみで投資をする形について、お話したいと思います。ただ、海外の親会社からBC州の物件に直接投資をする場合には、お話する事は税法上の取り扱いだけになりますので、それは今後のカナダと日本の租税条約の中でお話しする事として、今週は一社独自の投資でありながらも、現地子会社を設置する場合を考え、お話したいと思います。

この現地子会社設置方法による投資は、日本の親会社が直接海外に投資する次ぐらいに、一番多く使われているストラクチャーだと思います。投資先の市場環境や税法にもよりますが、結局は現地に法人(よって社員)が在住しないと、通常は税的優遇制度も受けられないと思うので、殆どの場合には、投資活動以外でのメインのビジネスをされている事が多いと思います。

また、カナダの場合には、税法上、現地企業としてみなされ、現地企業同様の税率優遇を受けるには、次の三条件がクリアされている事が条件になります。1)現地登録されている事、2)現地に執行役員レベルの社員が税法上在住している事、3)資本金が現地企業で賄われている事です。

1)現地登録されている事

1)においては、弁護士などを使って登録するのは簡単に出来ます。BC州の場合には、2018年現在で、2~3日で設立は可能で、費用は約$2,000(18万円ほど)になります。もちろん、この価格は弁護士費用も含まれるので、どの様な弁護士を雇うかで費用も変化してきます。そして、SPC(特別目的会社)など、簡単な企業の場合には、確定申告と企業報告書を毎年国税局と州企業登録庁(BC Registry)に提出する必要があります。登録庁への登録更新費は一年$350ほどです。この安さが、他のブログでもお話ししてきた様に、現地経済界の活性につながり、起業者の数が多いことに繋がっていると思います。その結果、バンクーバー市内の企業の70%程は従業員5人以下の企業です。

2)現地に執行役員レベルの社員が税法上在住している事

2)投資目的で事業拡張(若しくは拡張初期)される方々にとっては、この条件は困難なポイントかもしれません。事業の将来性も定かでない状況で、社員を設置するのは、経済的判断をする上でも難しいと思います。また、企業自体の経済的体力も求められるので、オーバーオールのプラニングは必須になります。これからもお分かりの様に、BC州での起業は、現地駐在の執行役員レベルの社員がいないと、今までお話ししてきたストラクチャーを組んでも、現地企業同様の税的メリットが受けられない場合が殆どです。もちろん他の投資家などと組んでの共同投資の場合には、他のストラクチャーが必要になってきますが、その場合でも、同じことです。税率については次のブログでお話しします。

3)資本金が現地企業で賄われている事

3) カナダのマネーロンダリング(資金洗浄)についての法律が日々厳しくなっており、その一環として、カナダのエンティティーの資金の出所を深く追求する動きがあります。特にSPC(特別目的会社)の場合は、親外国企業の情報の提出を求められたり、企業関係などについての情報提出が要求されています。よって、この部分についての条件は日々変わっており、未だ確定したプロセスはありません。また、実務レベルの話としては、初年度の運営上、外国企業から資本金が注入された場合には、上記1)と2)がクリアーされていても、現地市場貢献がないということで、現地企業同様の税的優遇は受けられません。その後は、自社収入などが発生する事で、この規制は取り除かれます。

よって、上記3項目が揃わないと、カナダ・BC州では、税法上の現地会社とは言わず、私的企業(Private Corporation)とみなされます。ですので、カナダの税率は魅力ある数字だと思いますが、海外からの投資の場合には、考慮しなくてはいけない点があります。

では、次週は税金率と租税条約の影響などについてお話ししたいと思います。

税金の季節はとっくに過ぎてしまいましたが、カナダの利点についてご理解して頂ければ嬉しいと思います。皆様にとって、今週も創作レベルが高い仕事が出来る一週間であります様に。

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