ちょっと前に(2024年1月)日本のニュースで韓国の少子化に関する深刻な問題が取り上げられていましたが、カナダでも人口の高齢化が深刻な問題になっています。一時期はこの進行がG7の中でも急速だとされ、世界的な高齢化の例になると言われた程でした。

日本の総務省の統計では2004年12月に日本の人口はピークに達し、今後100年で100年前の明治時代後期の人口まで減少すると報告されています。2050年には現在のニュークリアファミリー(両親と子供)世帯は全体の18%にとどまり、42%が単独世帯(うち高齢者単独世帯は55%)になると予測されています。その上、同時期までに日本の国土の2割は無人化した過疎地になるそうです。

カナダも世界的トレンド同様に人口成長の壁に直面しており、CIC(加国内移民弁護士事務所)によると、地球の人口維持の為には女性一人につき2.1人の出産が必要なのに対して、2020年には1.4人まで減少しました。アメリカの出産率はここ15年で20%低下、及びギリシャでは30%まで低下したそうです。

【子育て費用が高騰する中での高齢化】

この世界的少子化の原因の一つに子育て費用の高騰が挙げられており、カナダの場合は18歳までの育児費用が2015年より$27,000(約300万円)高騰している中、アメリカでも2017年から17歳までの育児費用が$27,000(約400万円)上がったそうです。また、ここ15年間はベビーブーマーによる平均年齢の高齢化が継続しています。

【更なる移民の受け入れで移民色が強くなるカナダ】

その様な中、カナダの成長は移民によって補われてきました(移民とは欧州(Old World)以外からの移住者)。統計的観点から、人口は毎年1〜3%ほど上昇し続けており、2024年の夏には4,000万人を超えると言われています。(2024年2月、ミレニアムとジェネレーションZ世代(2000年以降に生まれた人口)が初めて55−64歳層の人口を上回ったとカナダ統計局は発表しました。)

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世界2番目の国土を保有する国に4,000万人は少なすぎるかもしれませんが、1986年の人口が2,500万人(カナダ統計局)だった事を考慮すると、凄まじい成長を辿っている事が分かります。そして、現在の成長率が継続する事で25年後には人口が2倍に達すると言われ、白人が人種的少数派(racial minority)になると言われています。例えば、現在の15歳以下の白人以外の人種的少数派は32%ですが、65歳以上の比率は14.5%に留まります。National Post紙は遅くとも2041年までには殆どのカナダ人は移民の子供になると報告し、カナダ統計局は2068年の人口は5,700万人になると予測しています。

【継続した不動産需要と供給の欠如】

住宅数の欠如は今までのブログでも取り上げてきましたが(前回のNAIOPでは国全体で345万戸不足)、人口が倍になる事で、高齢人口の低下を踏まえても、住宅供給は間に合いません。住宅はカナダの最大の問題として今後も存在し続けます。財源確保もさる事ながら(よって、更なる知的財産や専門職支援政策の推奨が進むと見込んでいます)、インフラ(鉄道、道路、水道、学校等)強化が迫られ、更なるベッドタウン都市の開発が進むでしょう。市内では住宅の高層化と密集化が進み、ニューヨーク・マンハッタンの様な姿がバンクーバーダウンタウン半島及び近郊地域に更に広がると予測します。

現在の最大の問題点である行政のマンパワー問題においてはAIの導入を免れる事は出来ず、建築申請プロセスも段階的に自動化が進んでいくと見込んでいます。よって、開発速度が上がると同時に、量的供給も進行し、モジュール化やCLT(直交集成板)などの応用が進む事で、提供される住宅の価格帯にも選択の兆しが出てくると考えています。

これら技術の発展とベッドタウン化の進行により、バンクーバーの収入面における人口分布は安定し、幅のある労働者供給が可能になり、更なる経済成長が可能になると考えています。

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ブログアーカイブより:木造建物の投資メリット

ただ、「この左寄りの社会と行政がどれだけ自分達のエゴを捨て、マクロ視点から見た社会発展に貢献してくれるか?」という点には残念ながら疑問が残ってしまいます。

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