先週のブログでは物件購入時に既存のテナントを受け継いだ場合についてお話し致しましたが、今週は物件購入後に新規テナントを獲得し、入居するまでのプロセスについてお話ししたいと思います。先週の話と重複させない為にも、テナントへの入居前のマニュアルの説明、敷金の振り込み、仲介料の支払いなどは全て終了している前提でお話ししたいと思います。よって、残っている案件としては、物理的なテナント工事、入居までのオーナーサイドのプロセス、そして入居後の対応になります。

1)テナント工事について

テナント工事についてですが、これは賃貸借契約書の中にテナントの仕様という事で、通常必要工事内容が図面と一緒に添付されています。(場所によってはその様な契約形式になっていない所もあるかもしれません)そして、賃貸交渉の時点でオーナーからのテナント工事一部負担金などについても合意されているはずですので、内容もある程度は決まっているはずです。また、テナント工事についての建築申請は全てテナントサイドのマターになりますので、オーナーとしては特別する案件はありません。特にバンクーバーでは、賃貸借契約書と建築申請書があれば申請は可能になります。ただ、弊社の場合には、建築案については事前の署名による承諾が条件として賃貸借契約書に記載されているので、行政が契約書の内容を確認していれば、弊社の署名が必要である事も同時に確認するはずです。バンクーバーの場合には特にですが、行政の対応に時間がかかる為、一般的なプロセスとして、市場状況に関係なくテナント工事に対してのフリーレント期間が考慮されます。これが1ヶ月なのか数ヶ月なのかは、市場状況にもよると思いますが、現在のバンクーバーでは1ヶ月は最低でも与えられています。新規物件である場合には、このフリーレント期間は延長する傾向にあります。

テナントが建築申請を行う前に、弊社の契約書では弊社による図面とその詳細の確認が必要とされていますので、こちらでの確認が入ります。しかし、弊社としても詳しい工事や技術的仕様については理解が足りない所もあるので、常に建築事務所とお付き合いがあるゼネコンに内容の確認をして貰っています。特に重要と思われる点は、床荷重や天井から何かを吊り下げる場合の圧力、電力負担、空調設備負担(ダクトの配置を含めた)、入居者数などになります。その上に工事期間や時間帯についても気を配る所です。特に工事の始まりの際には、業者による工具の持ち込みなどが必要になり、通常はエレベーターをロックオフして専属使用する事になる為、他のテナントに迷惑をかけない点や物件への破損確認を行う視点からも、搬入時間を事前に設定する必要があります。平屋物件ではそれ程問題にはなりませんが、2階以上での工事の場合には、業者のアンカー用ボルトの深さはとても重要な確認事項になります。これは床の亀裂や下の階への水漏れの原因になると同時に、床内に埋めてある電線切断を導く事にもなりますので、厳重対応が必須です。

2)工事中の確認事項、テナントの入居

工事中は工事の遅れによる更なるフリーレント期間の申し込みをなくす為にも、工事の進行状態の確認は重要なマターになります。そして建物側としても状況の確認と期間内の終了の確認は怠れません。もし大幅な遅れが予測される場合には、仲介を通してテナントへの賃料発生日のリマインド通知をしたりする事で、建物側としての責任は存在せず予定通りに有償期間が開始される事を事前に伝えておく事はのちのトラブル回避にも役に立ちます。

そして工事竣工とともに建物側として、現場の確認をする必要があります。これは殆ど目視になりますが、現場監督への質疑応答などで工事内容の確認を取る形になります。そして、その確認後、建物側としての確認と承諾を行い(契約書内容によりますが)入居に進みます。

テナントが入居する際には、オーナーとして鍵を無償で数本提供するのが北米の習慣です。コピー不可の鍵でない限り、提供した本数以上の鍵はテナント負担になり、テナントでコピーを作り管理する事になります。また、建物側としては、各テナントスイートのフロントドアの鍵のみを提供すると同時に、スペア鍵を管理する事になります。

3)物件管理について

新規と既存テナントの両方に関わる管理案件としては、一般的な賃貸借契約においてはテナントが物件の経理簿などを閲覧する権利があり、年に1社ぐらいの割合で、経理簿閲覧のリクエストが入ってきたりしますので、経理関係書類は常に遅れる事なく保管する事をお勧めします。場合によっては、計算ミスを指摘されたり、書類管理不十分という名目で管理費の値下げや返金を迫られる場合もありますので、ご注意下さい。また、各テナントが固定資産税の割合を負担する事から、請求額(査定額)に対して不服の申し立ての要望があるかもしれません。この場合にも、申し立てをする事自体が問題なのではなく、その頻度や上昇額(率)などを確認して行動に移す必要があります。大概は毎年見直しを申し込む事は通らない上に、税金の節約額の25%は業者のフィーとして払う事になります。よって、大きな節約が見込めない限り、時間と労力ばかりがかかる練習になってしまいます。

どこのオーナー(管理会社)でも行っていますが、最低でも月に一回はテナントスペースを訪問するべきです。これにより、テナントの経営状況(よって家賃支払い能力)や施設内の破損(壁や窓ガラス)や無許可工事の確認が出来る事になります。また、頻繁にあるのが、外部のゴミの散乱や植栽物の美化管理がなされていない事です。通常はこのような美化についても賃貸借契約書の中に記載事項がありますので、管理の徹底をする事は物件の保全という面でも大事な事だと思います。

物件タイプによっては、特別な管理も必要になるケースもあると思いますが、ここでは一般的な管理上のお話をさせて頂きました。来週は最終話にもなる売却についてです。

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