今回は、前回からの続きになります。

前半部分は9/29に更新された「業界エキスパートにインタビュー! 北米不動産業界の現状 – アセットマネージャー (1)」をご覧ください。それでは、引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。

2)物件運営での関わり方

アセットマネージャーが各物件に関わるのは、ほとんどの場合が月一回の物件訪問だけになります。それ以外の場合には、毎月プロパティーマネージャーから上がってくる物件月末報告書に記載されている事項を確認し、銀行関係を始めとする財務及び税的案件に関わるのが一般的です。

よって、物件レポートでも「予算対実費の比較表」などはアセットマネージャーにとっては大切な物件の現状把握項目になります。そして、予算に掲載された項目が滞りなく遂行していて予算内に収まっている事が大前提で重要点になります。ですから、アセットマネージャーへの月末報告書は、ほとんどの場合に会計ソフトからの印刷ページが多く、それに物件の概要説明がついている物が典型的なマンスリーレポートになります。

しかし、この様な物では本当に物件状況は把握出来ません。なので、アセットマネージャーの手足となって物件に関わってくれるのがプロパティーマネージャーという物件管理会社です。殆どのアセットマネージャーはプロパティーマネージャーから上がって来た予算に対する実費についてのコメントはしますが、不動産の運営観点からのコメントはしません。例えば、物件視察に行った時もアセットマネージャーはビルディングエンジニア(現地物件管理の設備専門家)に空調設備のモーターの状況を説明して貰ったり、各設備の延命対策についてプロパティーマネージャーと共に議論する様な事はしません。

この様な指摘に対して多くのアセットマネージャーの答えは、「不動産運営についてはプロパティーマネージャーに任せているから知る必要がない。それ以上に自分もそこまで知っていたら、なぜプロパティーマネージャーを雇う必要があるのだ?」というものです。

私としては、アセットマネージャーを必要とするような機関投資家は、常時多くの物件を抱えており、業界の定説では一人のアセットマネージャーが統括出来るのは、平均3棟の高層ビルもしくは大型物件が限度と言われているので、プロパティーマネージャーの存在は常に必須だと思っています。

同時に自分の管轄物件の状況を把握出来ないのはアセットマネージャーとして未熟であると考える為、金融バックグランドから来るアセットマネージャー職でも不動産の骨組みついて理解している必要があり、運営について踏み込んで理解するべきだと考えています。不動産の骨組みを理解し設備を理解することで、例えば先ほどの空調設備のモーターの延命について話し合うことが可能になり、予算表に出てこない本当の節約が可能になります(例えば、点検や機材調整回数を増やすなど)。

私はこの様な考えを持っている為、前職では機関投資家に送られるものとは別に、物件概要、文章での各事項の説明や写真を添付書類としたものを物件運営報告書としてプロパティーマネージャーに毎月請求していました。その当時、この様な報告書の雛形はどの管理会社にもなかったので、共同で作り上げたものを採用してもらっていました。

私のバックグランドが不動産屋で不動産の統括職であった為、投資としての利益はもちろん追求してきましたが、それ以上に不動産という建物の維持と設備の正しい使い方と管理からくる延命は資産価値の継続を可能にし、不動産運用上の利益に直結した答えを出すと思っています。

よって、管理と予防管理は利益追求上非常に大切と考え、予防メンテナンス(管理)、必要修繕や資産工事などの現状と予定を盛り込んだ報告書(及び話し合い)が必要になると自負しています。この様な理由から、私はアセットマネージャーは頻繁に現場に立ち入り、プロパティーマネージャーや現地ビル管理者と細かい運営方法と修繕を始めとする資産工事などの対策について話し合える知識が必要だと思っています。

少しずれてしまいましたが、このほかにアセットマネージャーが行っている仕事は銀行との融資折衝です。これは各機関投資家のファイナンシング構造がどうなっているかにもよりますが、安定した融資は不動産運営には必須です。

3)今後の職務上の傾向

機関投資家の下で働いているアセットマネージャーにとっては、機関投資家が保有する不動産物件数は今後も増えていく傾向にあると思います。世界的に資金が溢れている状況の中、低金利状態が継続していますので、不動産からくる利益は今後も高水準で保たれると思います。逆にこの様な低金利状況ですので、物件の資産価値継続という意味でも資産工事を行う機関投資家が増えてくると思います。これにより、アセットマネージャーがプロパティーマネージャーの不動産力にさらに頼る関係になるか、もしくは彼ら自身でも不動産知識を向上させる必要が更に出てくると思っています。

    ブログについてのご意見・ご感想(回答所要時間: 30秒)

    枡田耕治の週間ブログをご覧いただきありがとうございます。2018年1月からはじまったこのブログも、おかげさまで、200話を迎えることができました。そこで、読者の方にご意見・ご感想を伺いたいと思います。もっと読者の方について知ることで、皆様のニーズを把握し、より良い情報の提供、今後のブログテーマの参考にさせていただきます。ご協力いただければありがたいです。ぜひ、宜しくお願いします。

    *回答者の個人情報に配慮し、名前、電話番号やメールアドレス等は一切お伺いしていません。
    *ご返信をご希望の方は、コメント欄にメールアドレスをご記入ください。

    Q. 枡田耕治の週間ブログをどのようにして知りましたか。
    GoogleサーチFacebook紹介その他

    Q. ブログをお読みいただいている理由は何ですか。
    海外(カナダ)の不動産投資に興味がある不動産投資について勉強になる共感する点が多いその他

    Q. 今後どのようなテーマのブログを読みたいですか。
    引き続き、海外の不動産投資不動産投資プロジェクトの実例家業・事業継承海外での起業について海外での教育についてその他