今週は私が一緒に働きたいと思う人材の素質の第三週としてお話しさせて頂くと同時に、このミニシリーズの最後のまとめとしてお話ししたいと思います。当初はこの部分を2回だけに留めておく事にしてありましたが、まとめを入れるという面でも、もう1週間だけお付き合い頂ければと思います。今週のトピックは、1)常に勉強する人、2)謝れる人と3)自分のスキルが理解出来ている人についてお話しさせて頂きたいと思います。

1)常に勉強する人

「勉強」と言っても何を勉強するかにもよると思います。そして学校へ行ったり、セミナーをとったりする事だけが、勉強だとは私は思っていません。勉強とは色々な面で自分を向上し、自分のスキルレベルを上げるものだと思っています。よって、海外旅行に行って色々な文化に触れる事が仕事面でスキルアップに繋がるのであれば、それも勉強の一つだと思います。ただ、以前のブログでもお話しした様に、経験するだけでは、私のいう「常に勉強する人」には当てはまりません。旅行に行くにしても、そこから学んだ事を自分の物とし、知識ではなく、知恵として役立てる事が重要です。経験した事を知識として話す事は可能ですが、役に立てる事には繋がらないと思います。

勉強するという事は、現状に満足をしていない自分への挑戦の現れだと思います。すべての面でなくても、自分の知らない事に対して興味を持ち、学ぶ姿勢を保つ事は、我々の様に常にこれから来る需要を察知し、大衆の流れの先を行こうとしている者には必須なことです。学ぶという事は、同時に好奇心の現れで、自分を向上する意欲の現れだと思います。これもまた、創造性を向上させ、新規プロジェクトを考え出す上では重要な要素です。

2)謝れる人

アメリカのビジネス界では何があっても絶対に謝ってはいけないと最初に学びます。交通事故でもビジネス上のミスでも絶対に謝るなと、私も過去アメリカで仕事を始めた頃に学びました。アメリカでは、謝る事が自分の過失を認め、損害などの法的責任に繋がる事が頻繁にあるからです。しかし、カナダではこの様な事はなく、謝ってもその行為自体が過失を認める事にはなりません。国民性もあると思いますが、カナダの場合には、交通事故でも自ら謝る事が多くあります。

ここでは国によって違う対応をするべきだと言っているのではなく、自分の過ちは素直に認められる正直な心が必要だという事です。自分で回復できない状況を防ぐというリスクヘッジ力を身につける事も重要ですが、私が言いたいのは、誠心誠意に向き合った仕事ができる対人関係を築き、自分の間違えが分かった時点で、それを隠す事なく即報告し分かち合い、修正する試みを持っている人間が好ましいという意味です。

その為にも自分一人で出来る限界を把握し、常にチームワークを大切にする。そして他人の意見を尊重する重要性を知る事だと思います。

3)自分のスキルが理解出来ている人

人間には大きく分けて二種類の人がいると思います。1)は全体像を見る事が得意な人と、2)は各部分や詳細を見る事が得意な人です。私は明らかに1) の部類の人間です。ですから、各プロジェクトでも詳細の確認や仕事の詰めなどは、私の中でも最も不得意としている点です。本当は事業者が詰めの甘い人間である事は問題だと思いますが、そういう点でもチームワークは大切だと思います。

どっちの部類の人間かというのは、一例にしか過ぎませんが、この様に自分の性格や得意・不得意とする点を理解している事は大切な事だと思います。通常は「大人になる」時点で自分の強みや不得意点を理解していると思いますが、自分のスキルがどの様に各プロジェクトに役に立つのか、貢献出来るのかを常に理解して自ら動く事は、もしかしたらさほど強調されていないかもしれません。自分のスキルセットを理解している事で、仕事上でも受け身の姿勢ではなく、積極的な姿勢で取り組む事が出来ると思います。企業の体制が大きくなれば自ら率先して仕事を得る事は難しくなり、それはエゴの象徴と思われ周囲とのバランスに影響が出るのかもしれません。しかし、弊社の様に小さな会社では、各自が自ら率先して貢献していく姿勢がなければ、何も達成出来ないのが現状です。

この様に自分のスキルセットを理解し、それがどの様に自分の仕事、そして現在動いているプロジェクトに貢献出来るかを把握するスキルを持つ事は自主的に動く事につながり、プロジェクト遂行上、効率アップにつながると私は考えています。

4)まとめ

これまで週週間にわたり、北米で働くということをテーマに複数の点についてお話ししてきました。これは決して北米の職務環境やこちらの人間が優っているという訳ではないのは、もうすでに皆さんご理解頂いていると思います。このシリーズは「場所変われば。。。」という事で、日本とはちょっと違う点に重視してお話ししてきました。

この先も人材の流出が進む日本の現状を考えた場合、カナダ・バンクーバーを中心とした海外の状況をお話しする事で、バンクーバーが進んでいる方向や生活・経済状況を理解する材料になればと思い、このミニシリーズを始めました。

私もバンクーバーに来た当初は馴染むまで抵抗があり、正直「なんて田舎なのだろう」と思いました。人の考え方や経済的発展に対してもそう思いました。しかし、この10年間この地で腰を据えて、仕事と生活をしていく上で、バンクーバーの魅力や膨大なポテンシャルに気がつきました。個人的には、自分が老いてもこの地を生活拠点とし、日本へは美味しい日本食を嗜みに戻り、冬は南国で過ごすという様な生活が可能になったらそれはもう本当に素晴らしいと思います。バンクーバーは地理的にもこの様な生活が可能です。日本へは8時間半、ハワイへは6時間、ヨーロッパにも9時間で到達可能です。

イギリス領から独立したこのメルティングポット(人種の坩堝)における人間関係はとても大らかで素朴な優しさが今でも体感できます。その上、日本人への親日感情はとても良く、バンクーバーは入り込み易いと思います。この様な環境だからチームワークや共感性を重視するフラットな社会の仕組みが構築され、人々もライフワークバランスの整った私生活を送っています。

しかし、経済のスピードはとても早く、バンクーバーもその流れにそう一つの街です。専門性を売りにするハングリー精神旺盛な人間が多く、特に知的産業(IT、医療研究、教育やエンターテイメント)は将来に向けて世界での位置づけを一早く見せています。特に本社機能が存在しないこの街では、小規模企業が過半数を占め、起業し易い環境が整っています。そして人間性では、教育システムが一役買っている事は、ブログでもお話しした通りです。

この様な状況で生き延び、成功する為には、自分にしか出来ないスキルを持ち、ゴールを明確にした人生のパッケージングを行う事だと思います。同時に、人生は成功ばかりでは無いので、失敗から学び、再び這い上がる力と意欲を持ち備える事だと思います。しかし、人間一人の力は微力です。だから、その制限を知り、チームワークを大切にして、社会の中でのエコシステムの一員(周りの人たちとの共存と切磋琢磨する事や社会貢献する事で自分も豊かになるサイクル)を理解する事だと思います。

読者の皆さんには一つでも共感して頂ける点があれば、嬉しく思います。

自然環境も経済的にも優れたバンクーバーは、この先もさらに世界的な注目を浴び成長していくと思います。そしてこの街の資源は鉱山などの有限物資だけに留まらず、人材も有望な資源として経済に貢献し続けると思います。そう言った面でも、カナダ・バンクーバーは目を離せない成長過程にある次世代を代表する街の一つだと私は思っています。

来週からはまた不動産投資に話を戻し、現在の弊社のプロジェクトや今後のプロジェクトなどについてお話ししていきたいと思っています。